平城宮跡パブコメ 論点と文案

2月末〆切、平城宮跡開発についてのパブリックコメントへの投稿文案です。2月23日の会合で出た論点をもとに作成しました。どうぞご自由にご使用ください。
整備プログラム案の記述に対応する形で、1トピック1投稿でお送りいいだけると効果が高いと思います。いくら重いが強くても、言いたいことをエッセイのように自由に盛り込むと、集計の際に丸められて、伝わらない危険があります。
  • 世界遺産コアゾーンの中の事業である。
    整備プログラム案は大きな現状変更となり、世界遺産の主旨に照らして不適切。

  • 築地回廊の真実性に疑問がある。
    当時の構造・意匠等の詳細は不明のままである。何百億円もの経費をかけるのに、推定に基づいて建設すべきでない。将来、研究の進展によって確かなことがわかるまで、復原はCG(VR・AR)によるバーチャル再現にとどめるべき。土木と違い、CGならば常に最新の研究成果を反映することができ、内容更新によるリピーターの増加も期待できる。平城宮跡整備と同じく国営飛鳥歴史公園事務所が推進中の「バーチャル飛鳥京プロジェクト」の成果を積極的に応用すべき。

  • 整備によって木簡を毀損する懸念が払拭されていない。
    第一次朝堂院広場等の舗装により、地下に浸透する雨水が減少する。舗装は平城宮跡全体の地下水位を低下させ、未発見の木簡等の埋蔵遺物を毀損する懸念がある。舗装するならば、安全性の根拠と、水位が低下したときの対処手順をあらかじめ具体的に示すべき。

  • 整備プログラム案は景観を損ねる。
    平城宮跡全域から東大寺大仏殿・若草山・春日山等への眺望景観は、奈良市が重点的に保全・活用に取り組む「重点眺望景観」に選定されるほど重要である。高さ8メートルの大極殿院築地回廊はその眺望を大きく遮ってしてしまうので、建設すべきでない。
    また、長岡京遷都後、千年以上にわたって耕作地として使用され、国有化後も半世紀にわたって草地・湿地として維持されてきた平城宮跡は、独特の景観として多くの市民・観光客に愛され、詩歌にも詠まれてきた。特に第一次大極殿前・第一次朝堂院広場の舗装はその歴史的景観を破壊し、平城宮跡の景観価値を損なうので、舗装すべきでない。

  • 周知不足である。
    平城宮跡整備については平成24年11月付で文化庁記念物課矢野和彦課長名の「平城宮跡の保護—国家100年の国民的プロジェクト—」なる文書が公表されているが、奈良市内でも整備計画については具体的にはほとんど知られておらず、「国民的プロジェクト」と称するには程遠い状態である。世界遺産である平城宮跡は、日本国民のみならず将来にわたる世界人類共有の宝であり、整備にあたってはその文化的・歴史的な固有の価値に見合った周知が行われるべきであるところ、まったく不足している。
    整備プログラム案は一旦棚上げとし、じっくりと時間をかけて、価値の本質を検討し、多くの意見を集め、十分な合意形成をはかるべき。着手後に国民の反発を招く整備は行うべきでない。

  • 平城宮跡展示館は建設すべきでない。
    整備プログラム案では現存の平城宮跡資料館との違いが示されておらず、意義が認められない。もし新たに展示館を整備するのであれば、たとえば県営プール跡地に、奈良の通史を展示・体験できる大規模な歴史博物館を建設するなどすべき。

  • 歴史公園としての価値が低下する。
    第一次朝堂院広場の土セメント舗装は、夏場の気温を上昇させ、暑さと照り返しにより快適性・利便性が著しく低下する。冬には寒風をさえぎるものがなく、視覚的にも荒涼とした印象を利用者に与え、不適切である。千年の歴史的景観である草地として維持すべき。
    また大極殿院内広場についても現状のアスファルト舗装を廃し、草地に戻すべき。奈良時代には土セメント舗装もアスファルト舗装も存在せず、復原展示として不適切。

  • 公園計画では近鉄奈良線・みやと通・県道矢田奈良線を公園内から除去することとなっているが、現実的でない。
    近鉄奈良線は平成26年には開通100周年を迎える歴史ある線路である。既に第一次大極殿の三倍以上の存続期間を誇り、平城京及び平城宮そのものの存続期間をも上回っている。近代奈良の発展に大きく寄与した近代化遺産として、車窓からの眺めも含め、尊重し保護すべき歴史的景観である。平成22年に奈良県が実施したアンケートでも、移設に否定的な意見が過半数であった。
    みやと通等の移設の困難さも考慮すると、これらの移設を想定した整備プログラム案は不適切である。移設を前提としない整備プログラム案を検討すべき。

  • 市街地の中に残る自然としての価値評価が不十分。。
    半世紀以上の歳月に育まれた豊かな「半自然」が平城宮跡全域に見られる。特にまとまった自然環境が残るのは平城宮跡資料館東側に広がる池沼部分であり、整備にあたっては特別の配慮を必要とするが、整備プログラム案では適切な評価がなされていない。
    基本構想から35年間での、周辺地域の緑地・耕地の激減を考慮し、市街地の中に残る自然的環境としての歴史と価値を再評価すべき。

  • 生態系の破壊を避けるべき。
    現在進行中の朝堂院広場と調整池の整備工事が、奈良県のレッドデータブックで希少種に指定されているカヤネズミの生息地や、近畿第2の規模のツバメのねぐらを破壊している。これは公園計画の「草地や湿地等の環境を保全」という方針に反しているので、即刻中断し、原状回復を行うべき。
    また、朝堂院広場の土入れを終え、北側の県道に対するバッファーであった高木植栽を大幅に伐採し、調整池の造成を開始した段階で環境モニタリング調査を計画するなど、非合理的な推進手順も不適切。自然的環境の保全を確実に実施できるよう、整備プログラム案を見直すべき。

  • 第一次朝堂院広場の全面的な舗装は不適切。
    「宮の中心軸線の確保」は、公園計画の概要図に描かれている通り、中央部の通路のみ舗装整備することで実現し、補助的に第一次朝堂院再現基壇への通路を整備すべき。
なるほどと思った方、丸パクリでもいいので、ぜひパブコメをお送りください。
国営平城宮跡歴史公園整備プログラム(案)に関する意見募集
画面下のご意見入力フォームから、簡単に送信できます。
[PR]
# by hjks | 2013-02-25 22:26 | パブコメ

平城宮跡パブコメ 景観からの論点

平城宮跡を守る会のMLに寄せられた、パブリックコメントの論点をご紹介します。


2月28日締切のパブコメに関連し、平城宮跡からの景観について参考情報です。
国営平城宮跡歴史公園整備プログラム(案)において、問題にしている第一次朝堂院跡舗装計画について全く触れられていないのは問題なのですが、整備プログラム(案)では主に第一次大極殿院の築地回廊復原計画について述べられています。

計画によると、第一大極殿を囲んでいる現在の仮柵の変わりに、高さ7m(※基壇を含めると8m)の築地回廊復原が予定されています。
高さ7mもの回廊で囲まれると、第一次大極殿から東大寺大仏殿や二月堂への眺望が阻害されるのは明白です。
また、平城宮跡資料館あたりからの大仏殿眺望も一部阻害されます。

奈良市都市景観条例では平城宮跡から大仏殿の眺望については直接触れられていませんが、関連資料を見ると、「類型Ⅱ:広がり型眺望景観」として「平城宮跡から東大寺大仏殿、若草山等の山並みへの眺望」というのが挙げられています。
「類型Ⅱ:広がり型眺望景観」とは、
史跡や水面、農地が創り出す近景の広がりが、ゆとりと潤いを創り出すとともに、その広がりのなかに見え隠れする数多くの歴史文化遺産や史実・説話・伝承などが、見る人の想像力をかりたたせ、豊かな自然のなかに歴史と文化の香を感じられる眺望景観
と書かれています。
「広がりのなかに見え隠れする数多くの歴史文化遺産や史実・説話・伝承などが、見る人の想像力をかりたたせ」というくだりは、第一次朝堂院舗装や、築地回廊復原と矛盾します。

また別の関連資料でも「平城宮跡から東大寺大仏殿、若草山等の山並みへの眺望」が重要視されています。

広い平城宮跡ですので、築地回廊から離れた場所に移動すれば大仏殿・二月堂の眺望があるわけですが、最も主要な第一次大極殿周辺から大仏殿・二月堂が望めなくなります。


なるほどと思った方は、ぜひパブコメに投稿を。
国営平城宮跡歴史公園整備プログラム(案)に関する意見募集
[PR]
# by hjks | 2013-02-25 12:44 | パブコメ

自然観察報告会&パブコメ対策会を開きました

平城宮跡を守る会は2月23日、奈良市中部公民館で「平城宮跡を考える 自然観察会報告会&パブコメ対策会」を開催しました。

前半は、2月11日に平城宮跡で開催した自然観察会の報告。
観察会ではおよそ2時間で106種の植物と13種の野鳥を確認。市街地の真ん中で、草地・湿地独特の豊かな生態系が育まれているようすを実際に確かめました。
一方、第一次朝堂院広場の舗装に伴って新たに造成される「調整池」予定地では、近畿第2の規模のツバメのねぐらであるエリアが重機によってかなり破壊されており、その惨状についても確かめました。土セメント舗装が始まればアルカリ性の汚濁水が池に流入することも想定され、生態系が一変してしまう危険があります。

後半は、2月末〆切のパブリックコメントについて検討しました。
話し合われた論点は以下の11点。

①世界遺産コアゾーンの中の事業。整備プログラム案は大きな現状変更であり不適切。
②築地回廊の真実性に疑問が。確かなことがわかるまで建設せず、復原はCGで。
③整備により地下水位が低下し、木簡等の地下埋蔵物を毀損する懸念が払拭されていない。
④景観を損ねる。高さ8メートルの築地回廊が建設されると、東大寺大仏殿・若草山への眺望が阻まれる。草地・湿地の舗装は、多くの人に愛されてきた独特の景観を損なう。
⑤周知不足。奈良市内でも整備計画はほとんど知られておらず、「国民的プロジェクト」にはほど遠い。時間をかけて合意形成を。
⑥平城宮跡展示館は、現存の平城宮跡資料館との違いがない。もし作るなら、県営プール跡地に、奈良の通史を展示する大規模な歴史博物館を。
⑦歴史公園としての利便性と価値が低下する。朝堂院広場が舗装されると、春から秋には日中歩けないほど暑く、冬は寒くなり、公園としての利活用性が低下する。アスファルトや土セメントは奈良時代にない舗装材で、復原とはいえない。
⑧近鉄奈良線・みやと通・県道矢田奈良線の移設は現実的でない。移設を前提しない整備プログラム案を。
⑨市街地の中に残る自然としての再評価を。基本構想からの35年間で、周辺の緑地・耕地は激減。
⑩朝堂院広場と調整池の整備工事が、希少動物カヤネズミの生息地や、近畿第2の規模のツバメのねぐらを破壊。草地・湿地環境の保全を。
⑪朝堂院広場の全面舗装は不要。中心軸線の確保は、公園計画概要図にある中央部の通路整備で可能。

考えれば考えるほど、奇妙な整備プログラム案です。
このまま進められることのないよう、パブコメを送りましょう。
国営平城宮跡歴史公園整備プログラム(案)に関する意見募集
[PR]
# by hjks | 2013-02-25 03:27 | 過去のイベント

国交省がパブコメ募集中 ぜひあなたの意見を!

平城宮跡の今後3年間の整備プログラム案について、国土交通省がパブリックコメントを募集しています。2月28日まで。
国営平城宮跡歴史公園整備プログラム(案)に関する意見募集 平成28年度までの整備方針について

整備プログラム案PDFの内容は、一読しただけで「これは言ってることがおかしい」「なぜこんな事業を?」と思うような記述がいくつも見つかります(あるいは、あるべき説明がない)。
ご意見入力フォームから、簡単に送信することができます。
平城宮跡のよりよい整備が実現するよう、ぜひみなさんの意見をお送りください!
[PR]
# by hjks | 2013-02-24 16:16 | パブコメ

こちらは「平城宮跡を守る会」です

平城宮跡を守る会では、昨年9月に突然始まった、世界遺産・特別史跡「平城宮跡」での埋立て舗装工事に反対する署名活動を行っています。
10月16日には、開始10日で集まった四千六百筆の署名を持って東京・霞が関の国交省・文化庁へ行き、意見交換を行いましたが、工事中止に至らず。
集まった署名は現在3万3千筆を超え、いまも募集中です。

朝堂院地区の造成は終わってしまったものの、当初3月までに完了予定だった舗装は予算を返上、来年度に繰り延べになりました。
埋蔵遺物のためにも、生態系のためにも、景観のためにも、せめて舗装だけは止めたい!と考えています。
ご支援のほどよろしくお願いいたします。

平城宮跡を守る会
http://narapress.jp/hjk/
[PR]
# by hjks | 2013-02-24 14:42